リカバリーは実現する?(ピアサポート研修②)
ピアサポート研修(基礎)について、Part2です。
基礎なので、この先どんな内容になるのだろう?Part1で書いた「障害当事者で専門職の人は、どちらの役割か?」は、最終的にはどのような結論が出るのだろう?そんな思いで受講していました。
リカバリーは実現する?
この研修を受ける前に、「ピアサポート研修検討会議」という資料が東京都のサイトにあったので、少し目を通していたのですが、随所に「リカバリー」という言葉が出てきました。リカバリー?復旧??きちっと辞書で調べたら、「回復」とも書いてありました。疾病や障害からの回復という意味だと曖昧な解釈をした状態で、研修資料を見たところ、リカバリーの概念は「障害があっても、ありのままの自分らしく生きようとすること」と記されていました。
「障害受容」という表現は、自分自身の事でも、支援者として業務でも使いますが、同義語なのでしょうか。もしかしたら意味合いが違うのかもしれませんが、ピアサポーターとして活躍する人は、この「リカバリー」という体験が重要だという事は理解しました。
何らかの苦しい経験をして、生きづらさを感じつつ、障害と向き合うプロセスを体験したからこそ、同じ障害がある人の心の闇を共感でき、相手はピアサポーターをロールモデルとして信頼・安心感を持つ事ができる。その構図が、ピアサポートの理想像だと思いました。
しかし、リカバリーというのは、そう簡単にできる事ではない。周囲を見渡して、本当の意味で心が回復しきれている障害当事者・・・・いないと思います。
ある程度まで回復し、社会復帰を果たした人は大勢いますが、繊細なガラスのように、小さなきっかけでヒビが入ってしまい、自尊心・自己肯定感の低下につながってしまう場面、数えきれないくらい立ち会ってきました。
ここまで考えて、だからこそ「専門職と協働」が必要なのかと、私なりの答えを見出しました。ピアとしての共感力・信頼関係の構築をしていくと、どんどんクライエントの心の奥まで入ってしまい、その結果、リカバリー最中である「過去の自分」がフラッシュバックしてしまう事が懸念されます。その手前でピアサポーターのケアをする役割として専門職がいる。そのような見方をすれば、ピアと専門職がチームとなり、クライエントの支援をしていく事で、一人の支援者だけで対応するよりも大きな効果が得られる事が考えられます。
もともとピアサポーターの活躍フィールドとして、精神科病院を想定しているようです。実際に精神科系の領域では、すでにピアによる支援が行われている好事例があるそうです。身体障害もピアカウンセラー活動が活発だったことを見聞きしていました。そのような人たちを支援者の一人として育てていくのが、この研修の目的なのかもしれません。
イメージはできたけれど、次に疑問に思ったのが、これらの活動をするピアサポーターは、ボランティアなのか、どこか病院や相談支援事業所に雇用されるのか?
その考察は、次回の記事にしたいと思います。
執筆者:柴田 静